医療法人とは
医療法人とは、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設することを目的として、医療法の規定に基づき設立される法人です。医療法人にはいくつかの種類がありますが、主流は、医療法人社団の基金制度採用医療法人(基金拠出型(持分なし)医療法人)です。
医療法人の最大の特徴は「非営利性」です。この「非営利」というのは、「利益をあげてはいけない」という意味ではなく、「利益の配当をしない」という意味です。
医療法人の活動により生じる利益は、医療法人が提供する医業にのみ充てることが可能です。医療法第54条には、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。」と規定されており、これが株式会社と大きく異なる点です。
2023年3月末時点で全国に58,000法人を超える医療法人が存在します。これは、大きな節税効果をはじめとする個人診療所を医療法人化するメリットに着目しての結果だと思われます。しかし、医療法人設立認可を担当する行政庁は、法人化のメリットだけに目を奪われず、法人化すると変わる点(一部付加される制約や義務がある)を十分理解したうえで、認可申請するよう強調しています。
医療法人設立認可条件
医療法人を設立するには、都道府県知事の認可を受けなければなりません。(一部、市保健所長等に委任している場合有り)
医療法人設立の認可を受けるにあたっての主な条件は次の通りです。
- 法的責任を負う職責に鑑み、未成年が医療法人の役員に就任することは認められない。
- 取引関係にある営利法人等の役員が、医療法人の役員(理事・監事)に就任することは認められない。
- 医療法人の役員と親族関係(役員の配偶者および三親等以内の親族)にある者、医療法人の理事・従業員、当該医療法人と顧問関係にある個人・法人の代表者が監事に就任することは認められない。
- 成年者である社員を3名以上確保すること。
- 差入保証金等を含めた医業費用2カ月分に相当する額または1千万円のいずれか高い方の金額以上の現金を拠出する必要がある。(=現金拠出)
- 理事長就任予定者は、所有している医療機器・什器備品等を基金として拠出する必要がある。(=現物拠出)
- 理事長就任予定者は、設立に際して、基金拠出総額(現金拠出+現物拠出)の50%以上を拠出すること。
- 設立認可申請日時点で、理事長就任予定者(現診療所開設者)が1年以上継続して、診療所の形態を変えずに安定して個人診療所を経営していること。
医療法人設立の流れ
医療法人設立の手続きの流れは、都道府県によって異なりますので、必ず管轄の都道府県の発信情報をご確認ください。
共通しているのは、医療法人の設立認可申請を年中随時受け付けているわけではなく、年間2~3回に受付時期が決まっているということです。タイミングを逃すと設立は1年近く先になることも普通にあります。
以下は、大阪での手続きの流れです。
- システム登録と説明会出席
- 大阪府行政オンラインシステムに登録する必要があります。また、設立予定者は、府が開催する医療法人設立説明会に出席しなければなりません。
- 設立総会の開催
- 社員予定者全員の出席により医療法人設立総会を開催し、設立趣旨、定款、社員と役員、事業計画などを決めます。
- 仮申請書類の準備と提出
- 設立総会の議事録作成、申請書に添付する各種証明書(印鑑証明書、残高証明書など)の取得により、仮申請書類を仕上げて、府又は市保健所に提出します。
- 仮申請書類の審査
- 府又は市保健所は、仮申請書類を審査し、必要に応じて補正を経て、OKになったら本申請書類の提出を連絡します。
- 基金拠出契約締結などの後、本申請書類を提出
- 府又は市保健所からの連絡を受けて、基金拠出契約を締結したり、本申請書類の捺印等必要な処理をした後、本申請書類を府又は市保健所に提出します。
- 本申請書類の審査、医療審議会諮問等
- 府又は市保健所は、本申請書類の審査、医療審議会諮問等必要な手続きを経て、認可決定をし、設立認可書を交付します。
- 医療法人設立登記
- 設立認可書に必要書類を添えて、法務局に医療法人の設立登記申請を行います。(司法書士業務)
- 医療法人診療所開設許可申請
- 医療法人としての診療所の開設許可申請を保健所に対して行います。
- 診療所の廃止届と開設届
- 個人診療所の廃止届と医療法人診療所の開設届をします。
- 保険医療機関の指定申請
- 法人診療所で保険診療を行うために、管轄厚生局に対して指定申請を行います。
行政書士すぎやん事務所の医療法人設立認可サポート
行政書士すぎやん事務所は、上記一連の手続きの流れをサポートさせて頂きます。
かなり長期戦の手続きではありますが、ドクターのご希望に沿うよう、責任をもって伴走させて頂きますので、よろしくお願いいたします。
費用の目安
下記の金額は、無床で診療所1か所の場合を想定した目安の金額です。申請にあたり保健所等に支払う印紙代は含まれていません。案件の概要をお伺いしたうえでお見積を差し上げます。
また、設立認可以外の各種医療申請や届出の手続きも対応しますので、お問合せください。
説明 | 行政書士 標準報酬(税別) | 備考 |
医療法人設立認可申請 | 650,000円~ | 印紙代別途 |
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